人気ブログランキング | 話題のタグを見る

BOOKS-Sima

shimac01.exblog.jp
ブログトップ
2009年 04月 23日

さよなら、エスキー

私が20年間お世話になってきたこの雑誌「Esquire」も、
来月号をもって休刊となる。
いままでありがとう。お疲れさま。

どのような内容にもかかわらず、毎号きっちり買い求める
理想的な読者ではなかったけれど、
発売日以降2.3日には、かならずチェックするのが楽しみでもあった。

ファッション・食・建築・観光・写真・映画・音楽など、
この雑誌を媒介として先達等が教えてくれた事・モノは数多くあれど
(永江朗の書評や黒田恭一の音楽、そして達磨信の酒などは特に好き)、
「靴」に関してはおおいなる悦びをもらった。

この雑誌がなかったら、私はドレスシューズの聖地である
英国・ノーザンプトンの存在を知るべくもなかったし、
実際に、足を運ぶこともなかったから。

1990年にはじめて訪れた英国では、大英博物館の向かいの
アラブ人の経営する(このじてんで十分あやしい)レストランで
焼いたトマトを初めて見(池波ふう)、なぜ日本は
こんな不味い物を食う国に戦争で負けたのか真剣に考えた。
リー&ペリンのウースターシャー(ほんとうはこう表記すべきらしい)ソース旨し。

あと、食で思い出に残るのは、バーガーキング(Yappar!)と
チャイナタウンでの北京ダック(恐くて高かった…)と
故・大屋政子経営の居酒屋「にんじん」くらい。

しかしパルマル地区の地下バーで呑んだ生ギネスの旨さは、はじめて見た
シャムロックのバブルアートとともに今でも憶えている。

釣り道具店「House of Hardy」では日本では考えられない
長尺(川幅が違うのだから今思えば当然)のバンブーロッドや、
ウェットフライの充実度に驚かされたり、
17歳のインストラクターに完全に上から目線で
接客されたりして、その晩、枕に涙した。

「Worlds end」では歯並びの悪い例のババアが鼻糞をほじっていた。

ソーホー地区の書店「MotorBooks」では日本における
英国車エンスージャストの動向をギロリ眼の店員に詰問され、
「日本で一番有名なのはフブキユーヤの乗るロータス・ヨーロッパです。」と
口走ってしまい、帰りのバージン航空機(アイス旨し)内まで、
「伊丹先生スミマセン」と私を後悔させた。

のちにエルメスに買収されるジョン・ローブには、
いまもわたしのラスト(木型)が残っているはず。
(邦貨で当時約17万円。あの頃たしかに私は何かに取り憑かれていた。
店員にナメられぬようパンセレラのソックス@5000円と
E・グリーンのダービーを履いていった)

スタイルは「City」と呼ばれるごく普通のキャップトウだが、
それでは芸がないのでダブルソール仕様にし、アイレット(紐穴)も
ひとつ減らした。が、そんな中国人くずれが
アルカイックスマイルで唱えたオーダーをクールに聞いていた店員は、
当時どのように受け止めたのかは、いまもナゾである。

ベルルーティやコンテをはじめ、大阪にもここの代理店はあるが、
レザーの品質はガタ落ちしつつ価格は高騰と、いまでは見る影もない。
それを有り難がるご同輩のなんという多さよ。オヨヨ。
(いま流行のロングノーズ&極スクエアトウは、まったく知らない&興味ない)

「すべての情報誌はここ数年のうちに全部つぶれる」とは、
とある有名なだんじりライターの言であるが、やはりそうなのだろうか。
やはりそうなのでしょうね。

この雑誌には、いわゆるパンチェッタ系「チョイ悪オヤジ」養成雑誌とは
すこし意味合いの異なったエロさというか、理系チック(意味不明)な
「粋」が込められている気がしていたのだが。

いもじくもことし初頭に休刊となった「PLAYBOY」同様、
これまでのリイシューとして、最終号には編集者の矜持が
バキューンとつまった渾身の一冊を期待する。
価格はこのさい問わない。

ところで、みなさんは黄金週間をどのように過ごすのでしょうか。
わたしは軍艦島@長崎県を計画中(だが、無理でした)。

さよなら、エスキー_e0160330_1442162.jpg

by shimac01 | 2009-04-23 14:51 | Book


<< 目の前でゲロ吐いて倒れ込むおっ...      無知で堕落した人間にも桜は美し... >>